AIを使った商談分析の方法とは|ブラックボックス化を防ぐには?
更新日:2023年07月13日
公開日:2023年06月30日
対面営業が主流だった時代はもちろんのこと、オンライン営業が普及した現在でも現場の大きな課題となっているものが、商談内容のブラックボックス化。ここでは、多くの営業部署が抱える商談ブラックボックス化の有効な解決方法の1つとして、AIによる商談分析をご紹介しています。
目次
現場任せの商談がブラックボックス化する
各営業パーソンが行った商談は、その要点が議事録・日報等にまとめられて上司に報告される流れとなっていますが、上司は商談現場にいたわけではない以上、報告内容が適切かどうかを判断できません。
提出された報告のみを基に部下へ指示を出し、報告されていない商談内容は、すべて廃棄されることになります。いわゆる商談のブラックボックス化という状況ですが、そもそも商談のブラックボックス化は何が問題となるのでしょうか。
ブラックボックス化が引き起こす問題
適切な営業を行っているかどうかを判断できない
議事録や日報などによる報告は、部下自身が商談のポイントとして自己判断した部分に過ぎません。報告された内容のみを情報源に、部下が適切な営業を行っているかどうかを上司が判断するには、限界があるでしょう。
成績不振の理由を把握できない
部下の商談内容を正確に把握できない場合、上司から部下への次なる指示は的を外したものになりかねません。的を外した指示を出しても、部下の営業成績につながる可能性は低いでしょう。結果、上司はもとより部下自身も、営業成績不振の理由を把握できないまま時間だけ過ぎていきます。
法律に抵触する契約につながるリスクがある
上司が商談現場に同席していない以上、故意・過失を問わず、部下は法律に抵触する形で契約を取りかねません。説明義務がある部分を説明しないまま契約を取る、などです。法律違反が公になった場合、企業全体の社会的信用に傷が付く恐れもあります。
仕事をサボってしまう可能性もある
営業成果が上がらなくても、一般的に営業パーソンは最低限の給料が保証されます。中には仕事をサボり、偽造した報告書を提出して日々をやり過ごしている営業パーソンが潜在しているかもしれません。
以上はすべて営業のブラックボックス化から生じうる課題です。
これらの課題を解決するためには、上司が部下のすべての商談に同行・同席しなければなりませんが、現実的には不可能でしょう。このループのように終わらない課題の解消を目指したツールが、以下にご紹介するAI商談分析ツールになります。
AIによる商談分析でブラックボックス化の解消を目指す
AIによる商談分析を導入することで、営業パーソン本人ではなく、AIが商談内容のポイントを分析します。商談参加者のトーク内容だけではなく、相手方の表情や反応(頷きなども含む)などもAIがキャッチして分析し、客観性のある報告書としてまとめ、上司が共有可能な状態にします。以下、AIの商談分析を導入した企業の事例を見てみましょう。
事例1・顧客対応スキル質が向上
某・大手生命保険会社は、オンライン商談の内容をAIで解析するツールを導入し、ロープレを通じて営業スキルを可視化して共有する実験を行いました。実験では、トーク内容だけではなく、視線の動きや表情の豊かさ、頷きなどをAIが定量評価しました。この評価を基にロープレを継続実施したところ、営業パーソンの顧客対応スキルが向上することを確認しました。
同社では、コミュニケーションスキルの属人化を解消し、標準化へとつながる有効なツールとして期待しています。
事例2・社内の有効な教育・研修につながる
営業電話が多い某・企業では、通話内容をAI分析するツールを導入しました。AIにより、通話内容を定量的に分析しデータとして出力するツールです。
導入後、アポイントを獲得できた通話記録とデータを教材とし、社内研修を通じて全体へフィードバックしました。また、自らの課題を発見するためのセルフコーチング教材としても活かされているとのことです。AIによる商談分析が社内の有効な教育・研修につながる、という好例です。
AI商談分析のメリット・デメリット
AIによる商談分析ツールを導入するメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット
- 商談のブラックボックス化を防げる(商談内容の共有)
- 商談報告書の品質が向上する
- 上司から部下への指示が的確になる
- 定量化されたデータを通じ営業スキルの向上につなげられる
- 社内教育・研修の教材として活用できる
デメリット
- 社内ツールが増える
- 分析データの扱いを習熟しなければならない
- 導入・運用コストが掛かる
- 反対勢力を説得する必要がある
商談のブラックボックス化を防ぐための重要なTIPS
対面営業のブラックボックス化を防ぐためには、部下のすべての商談に上司が同行しなければなりません。また、オンライン商談のブラックボックス化を防ぐためには、部下のすべてのオンライン商談に同席する必要があります。
これら同行・同席が現実的に不可能である以上、商談のブラックボックス化を防ぐためには、別の視点から解決を図る必要があります。その有効な解決策の1つが、AIによる商談分析です。商談のブラックボックス化にお悩みの企業様にとって、悩みのループから抜け出す重要なTIPS(ヒント)になるのではないでしょうか。